産後うつ
このページ担当をする私は、2回出産経験があります。かたくるしい心理学の話だけでなく、心理士としての私の実体験も少し交えて、ゆるっと、お伝えできればと思います。
“妊娠””出産”といえば、たくさんの祝福に囲まれ、幸せいっぱいの、穏やかな聖母のイメージを抱くでしょうか。たしかに、このイメージ通りのこともあります。
でも、妊娠も出産も、実際は、すごく、かなり、とっても、ツライです。
そして、産後の身体は脆いです。何より、どういうわけか苛立ち、孤独感に襲われ、自己否定の考えが埋め尽くす、つらすぎる時期がやってきます。
…出産から数年たつと、かつての自分の感覚が理解しがたくなりますが、ネガティブモードに浸りきっているのが、産後うつです。
なぜあんなにも苛立ったのか?
「すごくつらい」「命がけの思いでやってる」
「もうやめたい」「ぜんぜん可愛くない」
「私は母になってはいけない人間なんだ」
などが頭に浮かんできます。
“幸福””聖母”といったイメージが根強くあると、素直な弱音や悪態は、言いにくくなっちゃいそうですね。
このような理想と現実のギャップから、【産後うつ(産褥期うつ病)】が起こることがあるのです。
妊娠・出産・授乳等によるホルモンバランスの変化が心に影響することは、医学的にも確かです。身体的な変化は「まぁ、仕方ない」「そういうものだから」と捉えるとしても、「仕方ないけど、しんどい」と言えたり、「じゃあ、どうするか?」を考えたりすることで、多くの母親は救われるのではないかと思います。
言う→考える→具体的に実行する→長期的に続ける、ということと、それらを他者と共にやっていくことが、とっても大切です。まずは、【言う】【話す】から始めましょう。
素直な気持ちを夫と共有できるといいのですが、夫の方も、父になったプレッシャーで仕事に励んだり、”こんなに可愛い我が子と一日中一緒にいられるなんて幸せだね”とポジティブすぎたり…夫に悪気はなくても、産後うつの妻の心には、チクリ、グサリ、と刺さることもあります。
夫がだめなら、市町村が運営する子育てサークルや子育て広場など、家を出て気分転換のできる場所は、いろいろあります。でも、産後うつの時だと、外出時に目にした他の親子がすごく上手くいっているように見えて、一層しんどくなる場合があります。さらに近年はSNSから他の親子の状況を知る機会もあるため、他者の素晴らしさと自分の無能さを、ありありと思い知る沼にはまったりもします。
カウンセリングでは、人と比べることなく、虚勢をはる必要もなく、こんなこと言ったら嫌われるかな?と考えることなく、こんなセリフを言ったら母親失格かな?と躊躇うことなく、リラックスして【言う】【話す】ができます。カウンセラーは、どんなお気持ちも、どんな暴言でも、しっかりゆっくり聞かせていただきます。
産後うつの沼にどっぷり浸かっている方、
よくわからないけどイライラしすぎて自分じゃないみたいと焦る方、
赤ちゃんとの毎日が長過ぎて途方に暮れている方、
しんどいのに無理して笑顔の良妻賢母であろうと一生懸命な方、
私たちは、お待ちしております。