うつ病についてーその2ー
【うつのきっかけ】
うつの原因は、非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いものですが、職場や学校の環境、人間関係など日ごろの生活の中にあるさまざまな要因が複雑に結びついて起こるものです。
うつのきっかけになる出来事としては、近親者との死別、事故・病気、仕事や学業での失敗、家庭内の不和、金銭的なトラブルなど一般的に否定的に捉えられる出来事だけではなく、昇進、妊娠・出産、旅行、転居などそれ自体はそれほど否定的に捉えられることが少ない出来事でもきっかけになりえます。つまり、「これまでの環境・状況の変化」が強いストレスとなりうつのきっかけになることがあります。
職場や学校などの環境の要因としては、物理的な環境によるストレスや業務/課題の内容、業務/課題の量の多さ、意思決定への関与の仕方、などが考えられます。
人間関係の要因としては、上司・部下との関係、友人関係、パートナーとの関係、親子関係などがあります。
そのような状況の中で、ひとつひとつは小さな不満やイライラでもそれらが積み重なることで自分でも気づかないうちに気分の落ち込みが起こっているかもしれません。“この仕事はこういうもの”“これくらいはできなくては”“誘いを断ると、付き合いが悪いヤツだと思われる”“夫/妻とはこうあるべき”“親/子どもというのはこういうもの”“うちの家庭はこういう家庭”など自分では「これが当たり前」と思っていることでもそれが知らず知らずのうちにストレスとして積み重なっているかもしれません。
大きな出来事であれば周囲の人や自分自身でも認識しやすいですが、日常生活の中で積み重ねられるストレスについては自分自身でも気づきにくいものです。ストレスの要因自体をすぐに解消することは難しいのですが、現実的に解消できるものであればその手立てを検討するとともに、すぐに解消することが難しいものについては、そのような環境での自分自身のあり方や、その物事の捉え方とそれに基づく関わり方などを振り返り、まずは整理することが必要です。
特に人間関係でのストレスに関しては、コミュニケーションの要因も少なからず影響しているものなので、自分や相手のコミュニケーションのあり方について理解する視点も良いでしょう。また、知らず知らずにストレスとなっている要因を自分自身で理解するための方法の一つとしてカウンセリングがあります。自分以外の誰かと話すことで、自分では「当たり前」だと思っていることがどういうものなのかが理解しやすくなり、少しでもストレスが少ないあり方、関わり方、捉え方を考えやすくなるようカウンセリングを役立てていただければと思っております。
「この仕事はこういうものだからしんどくても仕方がない」「これくらいのこと、できて当然」「人に弱音を吐くなんて情けない」「こんなことを言うと人に悪く思われる」というようなことを思っている方、一度お話ししに来てみませんか?