ひとと話す
暑すぎる…と思っていた夏が過ぎ、
最近は日に日に寒くなってきましたね。
私はこの時期になると毎年、あることを思い出します。
それは、心理士になるべく奮闘していた大学院生の頃の、
もう日が暮れて寒さも増して、一日の疲れもどーっと来ている
遅い時間から始まる授業のひとコマ。
“ エンカウンターグループ ” という授業でした。
***
“エンカウンターグループ”とは・・・
ロジャーズという臨床心理学者が始めた 集団心理療法 の一つです。
ロジャーズ先生は、カウンセラーのおそらく100%が知っている偉大な方です。
かみくだいて説明すると、
10名ほどで円になって座り 何らかのテーマについておしゃべりする
というものです。(※学術的な説明ではありません)
議論・討論 とは違い、発言に評価や優劣は伴いません。
また、必ずしも悩みごとを話すわけでもありません。
集まるメンバーに特定の条件はなく、
“ いろんな人と出会い、いろんな人と話す場 ” ともいえます。
***
その日のトークテーマは “冬” でした。
リーダーがメンバーに問いかけます。
「“冬”という言葉から、どんなことが思い浮かびますか?」
・・・寒い。寒くて、外出が憂鬱。
・・・雪が降る。電車が止まって、困る。
・・・日が暮れるのが早くて、なぜか寂しい気分になる。
・・・風邪をひきやすい季節だから、体調管理に神経質になる。
私は「冬って好きじゃないなあ」という思いが次々と出てきます。
・・・寒い。その分、友達と囲む鍋が最高。
・・・雪が積もって、授業をサボって、雪遊びして楽しかった。
・・・学校を出たらもう日が暮れていて、星が見れて嬉しかった。
・・・体調管理の意識が高まって、むしろ冬の生活リズムが一番整ってる。
メンバーは「冬っていいことあるよね〜」という思いで発言しているようです。
***
私はメンバーの発言をききながら
「たしかにそうだな〜」
「私も同じような楽しい思い出ある〜!」
と思ったり、
「そうか、私もあとで空を見上げてみよう」
「なるほどね、そう考えれば冬の存在は大きいなあ」
と気づいたり、
人に向けて話し、人の話を聞いたからこその 視野の広がりを実感しました。
評価や優劣は伴わないため、
冬を嫌ってる私はおかしい・・・とか、
無理やり冬を好きにならねば・・・とか、
そんなこと考える必要ありません。
その場のメンバーの発言と、
そこからさらに自分に湧いてきた気持ち、考え、
浮かんでくる風景、思い出されるできごと、
それらに身を任せて “冬” を360°あらゆる角度からみているような感覚です。
この時間を機に私は
「またあの憎めない冬が来た!」「嫌だと言いながらも、楽しませてもらってる」
なんて思うようになりました。
***
今回は、一つの例として“冬”をあげました。
どのようなこと・もの・できごとにも、
あらゆる見方・捉え方・感じ方があるのではないでしょうか。
その“あらゆる”を見つけようにも、
自分だけではどうしても限界があります。
ひとと話すことで「へぇ〜」「ほぉ〜」という
ほんのちょっと新しい視点がもらえるかもしれません。
その新しい視点は、
苦痛で仕方なかったことがちょっと面白く思えたり、
甘く考えていたことにはちょっと注意深くなれたり、
あなたをちょっと変えていくヒントになるかもしれません。
私たち心理士も、そんな“ちょっとした”存在でありたいです。
「同じことをグルグル考えちゃう」
「頭がカタイってよく言われる…」
「一度思い込むと、そうとしか思えん!」
という方は、ぜひ一度、
ひとと話す機会を大事にしてみるといいかもしれません♪
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