知能検査でわかること、それはIQだけじゃない
今回は、「知能検査でわかること、それはIQだけじゃない!」を語ります。
近年流行の長めのドラマタイトル
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(いつ恋)」
「私、結婚できないんじゃなくて、しないんです(できしな)」
「もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(もしドラ)」
のような・・・
「知能検査でわかること、それはIQだけじゃない!」
略してチノキュー。。。(当カウンセリングルームのまじめな心理士が担当しています)
―――
知能検査とは、知的能力を測定するための心理検査のことを言います(そのまんまの説明ですが)。
有名なものとして、
・田中ビネー式 ・K-ABC ・WISC(ウィスク) ・WAIS(ウェイス)
といったものがあります。
知能検査の多くが、IQを算出します。
IQとは、intelligence quotient = 知能指数 です。
100を平均値として、あなたの知的な能力を数字で表したのがIQというわけです。
このIQは、受検される方にとって最も気になるところかと思いますが、
実は、知能検査でわかること、それはIQだけではないのです。
検査者である心理士は、そこに目を光らせることこそ、大事だったりします(少なくとも私はそこがすごく楽しみです)。
例えば、以下の問題について、一度耳で聞いただけで正答を導くことができるでしょうか。ここでは目で読んでいただくしかないので、あくまでも想像上の「聞いただけで解けるか」を考えてみてください。
* * * * *
ある晴れた日曜日の午後、東京近郊の遊園地に、20名の団体客が3組と、男女カップルが5組やってきました。この遊園地の入場料は通常5000円ですが、10名以上の団体入場の場合は一人当たり10%が割引されます。
この日の来場者が、20名の団体客が3組と男女カップルが5組であった場合、売り上げはいくらでしょうか。
(※実際の検査時に用いられる問題とは異なります)
* * * * *
こたえ→
[考え方1]
5000円×0.9×20名×3組 + 5000円×2名×5組
=5000円×(54+10)
= 5000円札が64枚
= 32万円
[考え方2]
5000円×20名×3組=30万円
30万円×(1- 0.1)=27万円
一人当たり5000円なら、カップル1組は合計1万円。
1万円×5組=5万円
27万円+5万円=32万円
他にも、いろいろな導き方がありそうです。
誤答or無回答となった時が、IQ以外のことも分かるタイミングです。
“何によって間違えたか” “プロセスのどこでつまずいたか” を見つけていきます。
例えば、
・“ある晴れた日の日曜日”と聞いて、頭の中が晴天イメージでいっぱいになり、以降の問題文が耳に入らなかった。
・“東京近郊の遊園地”と聞いて、「それって、ディズ●―かな?」とワクワクした気分になり以降は数学的思考に戻れなかった。
・「20・3・5・5000・10・10・20・3・5」と数字を必死に追っていたがどのように処理して良いのか見当もつかない。
・「まずは5000円の10%割引でいくらになるか考えて、それが団体客の料金になって・・・」と正答に向かう思考プロセスができているが、途中で計算ミスをした。
・思考プロセスは正解だったが、最後の最後で焦ったため合計し忘れた。
・“割引”と聞いて「無理」と思った。
・問題文が長すぎて途中で考えることをやめた。
などなど、「誤答・無回答」の背景は様々です。
知能検査の採点基準は厳密に定められているため、「正答・誤答」の二択しかありません(ちょっと例外もあります)。実際は、検査者も「おっ、おしい・・・!」と思うこともありますが、惜しくとも間違っていれば「誤答」です。したがって、結果を分析する際には「0点」という扱いにしかなりませんが、そのプロセス(過程)に注目することに意味があります。
ここでは1問のみを例に挙げたため、イメージが沸きにくいかもしれません。
実際は、複数種類の問題にたくさん取り組んでいただくため、
・何がどのような理由で得意なのか
・何がどのような理由で不得意なのか
を、検査者である心理士は、総合的に把握していきます。そして、それをあなたにフィードバックします。
得意なことは日常生活においてどんどん活かされると良く、苦手なことは克服を目指すもよし、工夫を増やしてうまく付き合うもよし、もう関わらないことにするもよし、です。「できなかった」ではなく、「なぜできなかったのか」「何がどうなればできる可能性が高くなるか」を一緒に考えます。
ここまで読んでいただきましたが、知能検査ってつまり何なのか?!わけが分からなくなってしまったかもしれません。
お話ししたかったのは、「知能検査でわかること、それはIQだけじゃない!」ということです。
・勉強=苦手、と思っている
・なぜかいつも同じ失敗をする
・苦手と得意の差が激しい気がする
・頑張っているつもりがうまくいかない
・なぜか毎回似たようなミスを指摘される
という方は、一度知能検査を受けにきてみてくださいね。
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